素敵なきのこ本『きのこ絵』
「どこでもキノコ」を制作中にきのこについて色々調べていたら、素敵なきのこ本に出会ったので紹介したいと思います!
〈内容〉
18〜20世紀に描かれた美しいキノコの博物画が255点載っている、キノコ好きにはたまらない一冊。ファーブルや南方熊楠など、有名な博物学者が描いた作品も掲載されています。
フランスやイタリアなど、その地方ごとに生息するキノコをまとめた図譜(説明的な絵を中心に説明を加えた本)や、「食用キノコと毒キノコ」をまとめた図譜など、14冊の図譜から抜粋した博物画が楽しめます。
〈おすすめポイント〉
繊細な線やきれいな色使い、立体感のある陰影など、本物のキノコより美しくてうっとりとしてしまいます。昔、写真がなかった頃に正確な姿を残すため描かれた絵なのでしょうが、記録以上の意味合いがありそうです。
描く人によっても、線画だけだったり、グラデーションを駆使して芸術的な彩色をしたりと、表現方法が違います。同じキノコなのに全く違う雰囲気を持っているので、見比べるのも面白いです。
特に私がおすすめなのは、一番最初に掲載されている『ポーレットの菌類図譜』です。
Amazonのイメージ画像でこの博物画を見て、買おう!と決めたくらいお気に入り。
フランスで出版された菌類図譜の中で最も美しいと言われているそうです。
傘裏のひだが一本一本丁寧に書かれている繊細な線画も良いですし、彩色も落ち着いたピンクやグリーンなどを使っていて柔らかい印象が好きです。
(ところで実際にピンクのキノコってあるのでしょうか…少し気になりました…)
また、ヨーロッパと日本の図譜を比較して見られるのも面白い!
ヨーロッパのものは写実的で綺麗な色使い。紙面レイアウトは画とキノコの名前などが1、2行あるだけでシンプルです。
対して日本の図譜は画がデフォルメされてて浮世絵のよう。
ヨーロッパの絵画と日本画の違いと同じような感じです。
熊楠の図譜では画の周りにびっしり記述があるところも、ヨーロッパの図譜と違いますよね。
周りの記述は観察メモだそうで、名前だけでなく、発生の仕方、匂い、味などについて書いてあったり、なんと胞子自体も紙に包んで貼付けていました。画の記録以上の機能があって、日本人らしい追求の仕方だなと思いました。
博物画以外にも「キノコ図譜」についてのコラムも載っているので、読み物としてもためになります。きれいなキノコ絵を是非見てみてほしいので、本屋さんで見かけたら手にとってみてください!
〈おまけ:博物画を購入できる!〉
この本で「博物画」に興味を持ち、他にどんなものがあるのかな〜と調べていたら、販売サイトを見つけました!虫や鳥、動物、植物の博物画が売られています。見てるとあれもこれも欲しくなってきてしまいます。
2014.11.4